DIARYイクラの日報 / イクラのブログ
今までの最大の失敗
どうも。すでに前のブログを書いたのが約1ヶ月前の坂根です。
1ヶ月前の状態がもう記憶にないほど組織や社内体制が大きく変わりました。
とりあえず、失敗談を書いて欲しいと言われたので書こうと思います。
失敗談と言っても失敗しかしていないし、これからも失敗はし続けると思うのですが、起業してから今までで最大の失敗と言えるのは、
★COOが入るのが遅すぎた
これに尽きると思います。
これについて書こうと思います。
スタートアップやベンチャーの教科書を見ると、だいたい
「最初にチームを作る」
と書いています。
このことの本当の意味をわかっていなかったんですね。
イクラは2015年9月設立なので、早くも6年の年月が過ぎたわけです。
6年も何をしていたんだと自分でも思うのですが、紆余曲折を経て、今の「イクラ不動産」という売却サービスを開始したのが2019年9月なので丸2年経ったということになります。
イクラ不動産は、お家を売りたい人と不動産会社をつなぐITプラットフォーム事業のため、単純な社長以下上下の階級がある、という組織ではなく、CxOの連合体の会社です。
簡単に言うとチーム(部門)が
・セールス
・マーケティング
・エンジニア
・CS(カスタマーサクセス)
・コーポレート
5つに分かれ、そのどれもが全く違う部門になるわけです。
そのため、それぞれの責任者が自律的に意思決定し判断する必要があります。
・セールス→COO
・マーケティング→CMO(COO)
・エンジニア→CTO
・CS(カスタマーサクセス)→COO
・コーポレート→CFO(CEO)
現状でいうと、こんな感じですね。
ただ、残念ながら、1年前までイクラは、僕以下は全部役職がない「文鎮組織」だったんですよね。
簡単に言うと、全ての意思決定は僕に集中し、決定していくという組織ですね。
2019年9月に「イクラ不動産」を開始し、コロナによる初めての緊急事態宣言もあったとはいえ、約10ヶ月で148店舗加盟、と自分が立てた事業計画の「松・竹・梅」の梅の300店舗までも全く見えない時期でした。
すでに相当額投資はしているし、どうするんだ、と。まさにLinkedInの創業者リード・ホフマンの「スタートアップとは、崖の上からから飛び降りながら、飛行機をつくるようなものだ」という言葉を実感する毎日でした。
飛行機なんて作れていないどころか、おいおい、もう底が近いんじゃないか、と。
ちょうど1年前の2020年6月29日にN社長のメンタリングで、場所は中央区上本町西の喫茶店だと記憶しているのですが、多分なんとなしに言ってくれた言葉だと思うんですが、それが一番ハッとしました。
「プラットフォーム事業は、最後、人が持ち上げるから。」と。
はい?
IT事業って人を増やしたら意味ないんじゃないの?って思っていましたし、何を言っているんだ?と思いましたが、続けて、
「お前が知らないだけやろ?調べてみろよ。あと、プラットフォームは金がかかるの。今まで一番少なくてみんなのウェディングで2億円。」
「金がないのにどうするの?お客様から最初に数百万取ってリスク取らせるの?それとも従業員をブラックに低賃金で働かせてリスク取らせるの?お前がやろうとしている事業は、一番キャッシュが厳しくなる事業で、だからこそ株主としてのお前がリスクを取らないといけない事業やで。」と。
多分、何か反論したとは思うのですが、帰っても喰らった衝撃は絶大で頭から離れなかったのを覚えています。
あ、2020年6月29日は、織田信長対武田勝頼が戦った1575年6月29日に起きた長篠の戦いから445年後ですね。まさに、武田の騎馬隊が織田・徳川の鉄砲隊に負けたぐらいの衝撃がありました。
「人か…」と。
確かに、関西でもプラットフォーム事業で上手くいっているのを見ると、チーミング(経営陣のチーム)が上手くいっているN社長のところぐらいだし(知らないだけかもと思うのだが…)、O社長も「CxO!CxO!」と言うしな、と。
そこで、COOをいつか採用したいとは思っていたものの、いつかではなく、具体的にどのような人がイクラに加わって欲しいのか考えることにしました。
まず、
①不動産のことをよくわかっている人
これは外せないな、と。それでなくとも「家の売却」は身近なものでもなく対象年齢が50〜70代がメインということもあり、この条件だけでもかなり狭まると思っていました。
あとはどういう人か、よくわからないので、まず、懇意にしている不動産開発会社のW社長に相談したところ、
「坂根くんのこと好きやけど直情的なところがあるからな〜。負け勝ちという言葉もあるんやで」と。
なるほどなるほど。確かに、柔軟性がないというか、誰がなんと言おうが譲れないテリトリーに侵入した時点で、営業であっても「それならいいです」と言ってしまうもんな、と。
それでも反論し、
「Wさん、僕も頑張ればできます!」
「え…?それ何年後?」
「…えーっと、5年後ぐらいじゃないですかね?」
「アッハッハ。5年後も無理やろ。」
そこまで言うことはないのに。
確かに、諦めました。そもそも5年もかけて直さないといけないなんて、時間軸が長すぎる。そこで
②自分より営業力があり、人の話に耳を傾け、柔軟性があり、60分商談があって55分相手に喋らせて最後の5分で決めれる人
という人がいるな、と決めました。
自分より営業力がないと、不安になってきて「やっていること合っているの?」と口を出したくなるので、そこは絶対不可欠で、60分間あれば55分間喋っている僕と正反対の人が良いな、と思いました。自分と正反対なら、理解ができないのでますます口を出さなくなると思ったからです。
そして、COOの経験があるM社長にも相談しました。
そうすると、
「社長ができる人。これ一択。自分はNo.2に合っています、とか言っている人はクソ。そんな人役に立たない。」
と言われました。
厳しいけど、なるほどな、たしかにな、と。
同じCxOで、対等で有りたいなと。経営陣、なので。
そこで決めたのが、
③社長ができる人(社長の経験がある人)
なかなか、こんな人おらんぞという3条件ができ上がりました。
まとめると、
①不動産のことをよくわかっている人
②自分より営業力があり、人の話に耳を傾け、柔軟性があり、60分商談があって55分相手に喋らせて最後の5分で決めれる人
③社長ができる人(社長の経験がある人)
それがちょうど、まさにたった1人だけ頭の中に思い浮かんだ人物がいたんですよね。
それが現COOの木村さんだったわけです。
木村さんとの出会いはTwitterで、まさに木村さんが不動産会社を設立する時に出会い、そこからなんだかんだ、だいたい半年に1回ぐらいはご飯をしていたので、順調に経営していた(かなり儲かっていた)のも知っていたし、それまでイクラに入ってもらうなんてことを一度足りとも考えたことがなかったんですよね。
ただ、2020年5月ぐらいか6月かにご飯したとき、
「もう、不動産会社をやめようかと考えています」
って言ってて、
「え?マジ?」
と思いましたが、飽き性だし、だいたいできてしまうとつまらなくなる彼の性格を鑑みると、また新しいことに挑戦するのか、ぐらいにしか思っていなかったのですが、ところがどっこい、今やむしろ上記の条件のCOO候補は彼しかいなかったんですよ。
そこで、8月末に、本町駅、セントレジス側から御堂筋を挟んであるスタバで会うことになり、単刀直入に
「COOとして入ってくれませんか?」
と言い、びっくりしていましたが、
「ありがとうございます。でも坂根さん、もう二度と人の下では働かないと決めているんですよ。」
と言われました。
まぁまぁ、いきなりはそうでしょうね、と。
ただ、もう木村さんしかいないんですよ、と。
年内には事務所を閉めるため、次のやりたいことを探している、とのことで、
「とりあえず、それまで手伝ってくれないですか?」
から始まり、早速手伝ってくれ(辻野さんを放置しただけかもですが…)、11月末に
「COOやります!」
と言ってくれ、今年の1月に正式ジョインしてくれた、という流れです。
(CxOの依頼から、CxOの快諾までについては今度どこかで書きたいと思います。)
そこから、イクラ不動産は一気にグロースし始め、今は全国1400店舗の不動産会社に加盟していただけるサービスへと成長し、「ありがとう」と言ってくださる売主も順調に増え始めています。
なにがよかったのか。
冷静に考えてください。
社員数名の中に、単純に社長がもう1人入ってくるんですよ。強いに決まっているじゃないですか。
それも、暗闇の中、雑踏になにがあるかもわからないのに、ガンガン進んでいくんですよ。
CTOの笹島さんは、木村さんのことを「楠木正成」か「真田幸村」と評していますが、なにせゲリラ戦に強いです。智将ですね。僕は未来の「島津義弘」だと思っていますが。
入社前、木村さんに、
「坂根さん、入社条件としてMacくれませんか?」
と言われ、
そもそも今まで普通のPCを使ってて、メールも誰かにうって欲しいと言っている木村さんにMacなんか使えるんかいな、と正直思っていましたが、買って1ヶ月もしない内に僕より使いこなしていました。全く理解できない人です。きっと理解できないので、理解しようとすることを止めました。
あと、帰るとき、必ず電気やクーラーを消したり、コンセントを抜いたりしているのを見て、木村さんは電気はつけっぱなしタイプと思っていた僕からするとそれを見るだけでジーンと感動すらします。
で、同じような流れで、CTOの笹島さんは、辻野さんのリファラルで2020年の12月に紹介していただき、そこからイクラの開発に携わってくれ、2021年の5月に
「CTOお願いできませんか?」
といい、今に至ります。
彼を評すると「竹中半兵衛」ですね。
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脱線しましたが、【COOが入るのが遅すぎた】という今まで最大の失敗を総括しますと、
◎中途半端に頭が良いヤツはたちが悪い
という結論に至っています。
ここでの頭が良い、というのは学歴(といっても関西大学なのですが…)も含まれていますし、自分である程度なんでもできてしまうことを意味します。
思い起こせば、イクラは、僕の独学、ProgateとSchooでプログラミングを学び、サービスサイトやイクラちゃんねるなどを作ったところから始まり、独学でSEOや広告などマーケティングを学び、と、もう最初からミスしていたと思います。
なぜ、誰かに頼れなかったのか?
そこには自分でもできる、や変なプライドがあったからだと思います。
日本で一番社長が多い出身大学は、日本大学や近畿大学と言います。
決して、東大や京大じゃないんですよ。
勉強ができる人は、学生時代に答えがある勉強しかしてこなかったので、答えのない経営がリスクだと考え、また、それを他人にお願いすることもリスクだと考え、結局自分でやる人が多いのだと思います。あとは、自分より優秀な人に「助けて欲しい」とお願いできない、頭を下げられない、それが文鎮組織を作ってしまうんだと思います。
それじゃ、会社は伸びないんですよ。
「その程度の中途半端な知性で驕るなよ、お前。」
と2015年の僕に言いたいです。
自分である程度なんでもできてもいいのですが、できたのであれば誰かにその仕事を委譲し、新たなことに取り組むべきです。
委譲できないというなら、自分より優秀な人にお願いしてきてもらうか、きてもらえるだけの魅力ある会社になっているか、自分の行動はどうなのか、全てそこに帰結するかと思います。
「本当に伸ばしたいの?伸ばす気あるの?」と
伸ばさないと給料が増えないわけですから、働いているメンバーも不幸になると本当に思っているのか。
営業なら営業、マーケティングならマーケティング、エンジニアならエンジニア、CSならCSと、その道を極めし方にお願いした方がサービスが伸びる、つまりは「売主と不動産会社の方に喜んでもらえる顔が1日も早く見れる」ということなんですよね。
その対価こそが「売上」なんですよね。
「なにを成し遂げたいのか、そのための最短ルートはなにか、自分がCEOとしてできることはなにで、どこに携わることで一番インパクトを与えられるのか」を自問自答する日々です。
「最初にチームを作る」
その本当の意味にやっと気づいた、気づけた、やっとかよ、というのが最大の失敗ですね。
なお、仲良い後輩に近大出身のK社長がいまして、近大を決してバカにしていないのですが
「坂根さんの時代とはもう違うんですよ。近関同立どころか早慶近ですから。」
と腹立たしいことを言ってくる彼は、年齢でいうと8歳ぐらい違うのですが、上記のことにすぐに気づき、いや、気づいたというか、「自分では何もできない」とわかっていたからこそ、できる優秀な人に声をかけ、口説き、組織を作っている、そんな彼と近くにいたからこそ気づいたのかもしれません。
まぁ、彼には負けませんけどね。
少なくともトランプの大富豪では負けたことがありません。
今回はここまでです。